PMSとPMDD
- 2023年10月14日
- 眠れない
月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)は、月経前、3-10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。日本産科婦人科学会によると、日本では月経のある女性の約70-80%が月経前に何らかの症状があるとされています。
原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれています。
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)の場合もあります。2013年には抑うつ症候群のひとつとして考えられるようになりました。DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルによると、PMDDは月経がある女性の1.8-5.8%が該当するようです。PMDDの主な症状としては、抑うつ気分、絶望感、自己卑下の気持ち、不安、緊張、いらだっている感情、情緒不安定、持続的な怒りの感情がある、興味の減退、集中力の低下、倦怠感、疲れ、気力の低下、睡眠障害(過眠、不眠)、食欲の低下、自分が制御不能だと感じる、といったものが挙げられます。
上記症状が月経前に毎月現れ、月経開始後には和らぐことが特徴的です。出現症状を記録し、月経周期との関連を確認します。また、症状が似ているPMDDやうつ病など精神神経疾患でないことを確認します。日本では月経のある女性の約70-80%が月経前に何らかの症状があります。生活に困難を感じるほど強いPMSを示す女性の割合は5.4%と言われています。思春期の女性ではPMSがより多いとの報告もあります。
まず、症状日記をつけ病状を理解し把握することで、対処しやすくなります。PMSの症状と付き合うために、自分のリズムを知って気分転換やリラックスする時間を作ったり、自分が心地よいと思えるようなセルフケアを探してみることをお勧めします。また、カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えた方がよいと言われています。症状が重い場合には、仕事の負担を減らすことが治療になる場合もあります。